日米韓による軍事連携の早期確率を急げ


2011年1月、来日中のウィラード米太平洋軍司令官は、都内の米大使館で記者団と懇談して、
現在の北朝鮮情勢を「懸念している」としたうえで、
日本の自衛隊と米軍、韓国軍の3か国の軍事上の連携について、
「日本も韓国も米国の同盟国だ。
米国は何年もかけて、
日韓それぞれの部隊と相互運用ができるように態勢を積み上げ、戦術も両立可能に作ってきた。
日韓両国の部隊が相互運用するという考え方は自然だ」と述べ、
自衛隊と韓国軍の連携に大きな障害はない、との見解を示した。
司令官は、「将来、日韓の部隊が連携するかどうかは、
双方の政府の決断にかかっている」と述べ、
日韓両政府が検討を始めるべきだとの考えを示した。

ウィラード米太平洋軍司令官の言うように、日米間の軍事連携、軍事同盟は当然で、
すぐにでも実現できるようであるが、これが全く進展しないのです。

日米両国は、中国の脅威や北朝鮮の核・ミサイルへの共同対処を前面に打ち出したのです。
米国は安倍政権の集団的自衛権容認の検討や防衛予算増額を「歓迎する」としています。
しかし韓国は、
現実的な不満表明は、竹島問題、靖国神社参拝、従軍慰安婦問題ですが、
日米が中国、北朝鮮に認識を共有し戦略的検討を開始したことが不満なのです。

1950年代以来、
米国は日本、韓国両国とそれぞれ安全保障条約を結び、
重要な二国間同盟関係を維持してきました。

日韓の共通の脅威は北朝鮮でありソ連(ロシア)、中国でした。
日韓の間には複雑な歴史が深い傷跡を残していました。
政治体制の違いも日韓の間を難しくしていましたが、
なんとか、米国のお膳立てで事実上の同盟を構築することができていたようです。
しかし、昨今は、
日韓両国の国家安全保障上の必要性に食い違いが目立つようになったのです。

大きな要因は、ロシアの後退と中国の台頭、そして中国が朝鮮半島への関与を強めていることです。
北朝鮮の政治・経済を実質支配しているのは中国です。
1992年まで韓国と中国の間に外交関係はなく、二国間貿易も小規模でした。
今や中国は韓国の輸出額の25%を占める最大の貿易相手国になっているのです。
2位の米国はわずか10%を占めるにすぎないのです。

中国が政治、経済、軍事上の力をつけ、南北朝鮮問題に深く関与していることは、
日米韓の三国関係に複雑な重しとなっているのです。

北朝鮮自身は軍事技術を高度化させ、事実上の核保有国となり、
大規模に戦力を展開する能力を高めつつあるが、崩壊の可能性も現実的にあるのです。
日本にとっては、弾道ミサイル「テポドン」が大きな脅威になっています。
韓国にとっては、中国との関係強化もありますので、
以前ほど、政治家にとっては北朝鮮の軍事的脅威は感じないようです。
しかし、北朝鮮が突然崩壊すれば、急激な南北統一につながる可能性があります。そうすると、
北側に住む同一民族に大規模な救援活動を行わなければならないことが脅威になっているのです。
米国は別として、日韓の脅威はまったく別もののようです。

2013年に入ってから日韓の経済関係は急速に変わりました。
日本と韓国は、自動車、電機などを中心に複数の産業で直接競合しているのです。
アベノミクスは日本経済を復活させつつありますが、これが韓国を苦しめているのです。
金融緩和策で、円相場はドルを始めとする主要通貨に対して下落しています。
それに伴ってウォン建て輸出は海外市場で競争力を失い、韓国はいらだちを強めているのです。
日韓が仲良く慣れるわけがないのです。

政治、経済の関係ではギクシャクしていますが軍事当局者の間では若干の進展があります。
いくら政治、経済面で韓国と中国が親密になっても軍事面では、そうはいかないのです。
韓国軍が中国軍と親密になるようなことがあれば極東アジアにとって一大事です。
その懸念は、まずありえません。
2008年から毎年開催されてきた日米韓防衛実務者協議(DTT)を足がかりに、
米国は広範な多国間安全保障構想への日韓両国の関与拡大を積極的に奨励すべきでしょう。
2013年10月に実施された米韓両海軍と海上自衛隊による合同の捜索・救助訓練は、
今後も継続していく必要があると思います。
日韓の関与はその他の軍事演習、特に海と空の有事を想定した演習にも広げるべきであり、
必要に応じて在日米軍も加わればよいと思います。
多数の国が参加する環太平洋合同演習(リムパック)のような多国間の演習も、推進すべきです。
恣意的な防空識別圏設定への反対も、日米韓が共有する課題です。

こうした状況ですが日米韓の三国間は関係改善に向けて努力しなければならないのです。
従軍慰安婦問題や靖国神社参拝問題などで日韓がギクシャクするのは米国の嫌うところでもあり、
日本にとっても望ましい姿ではありません。
米国にとって日韓関係の安定と日米韓の三国間協力関係が重要であることは言うまでもありません。
勿論、日本が一番感じなければなりません。
日本、米国、韓国、は、
中国の台頭と不透明な北朝鮮情勢によって安全保障上の危機が高まっていることを認識し、
重要な安全保障上の懸念を共有すると同時に、
米国の北東アジアにおける同盟国である日韓両国の間では、
北朝鮮の戦力展開能力が拡大を続けていることで、
米政府が三国間協力の拡大を迫るのは当然であり、
日本の安全保障は日米のみならず、
日米韓による安全保障がより好ましいことは言うまでもありません。
この日米韓による軍事連携の早期確率を推し進めるタイミングはまさに今だと思います。

さあ、みんなで日米韓による軍事連携の早期確率を急げと 声を大にして言いましょうよ!



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